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Tsuneyuki Research Group


 研究紹介

「ネオジム磁石の界面構造に関する第一原理的アプローチ」

NdFeB

 現在最強の磁石として知られるNd-Fe-B磁石は日本人の佐川眞人氏によって発明され, 様々な工業製品で活用されている. しかし, 磁石材料において重要な物理量である保磁力が理論的に予想される値の20%程度に留まっていること, そしてその保磁力の熱耐性の低さの改善が課題となっているが, その起源は明らかになっていない. 近年の詳細な実験から, 保磁力の高いNd-Fe-B磁石内部ではNd2Fe14B主相を取り巻く多種の副相(dhcp-Nd, Nd酸化物, NdFeCu合金等)が観測されており, 主相と副相が接する界面が保磁力向上の鍵を握っていると認識されている.


 当研究室では理論的な立場からNd2Fe14B/dhcp-NdFe合金及びNd2-xCuxFe14B/NdOxの第一原理電子状態計算を進めている. これらの系は数百〜数千原子を含む大規模系であるため, 京コンピュータ等の大型計算機が活躍する絶好の舞台である. 種々の実験において, Nd-Fe-B焼結磁石に少量のCuを添加することで保磁力の向上が報告されている. 本研究では保磁力向上に対するCuの役割を明らかにすべく, Cu添加型Nd2Fe14B/NdOx (図参照)の第一原理計算を行った. この結果, CuはFe-Nd間の磁気的相互作用を弱める働きがあることが分かり, これにより保磁力と直結するNdの異方性向上に繋がっていると考えられる. 現在, その他のNd-Fe-B磁石界面構造に関する大規模第一原理計算を行い磁石の保磁力機構の解明を進めている.


 


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