Nd2Fe14B焼結磁石はNd2Fe14Bの結晶粒と結晶粒間相から構成されている永久磁石であり、最も強い磁石として多くの応用に使われている。添加物のないNd2Fe14B焼結磁石の保磁力は温度特性が悪く、高温状況下においては使用することが困難になるため、応用上は希少元素であるDy(ジスプロシウム)を添加し保磁力を高めているが、資源リスクの問題から希少元素を用いずに保磁力を向上する工夫が求められている。
近年、実験から結晶粒界相における微細構造が保磁力に大きな影響を与えることが示唆されており、その微視的理論が議論されている。我々は密度汎関数法を用いた第一原理計算により結晶粒界面の微細構造が保磁力に与える寄与を原子スケールの物理から探っている。