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Tsuneyuki Research Group


 Research

「格子熱伝導率の第一原理計算」

図:非平衡分子動力学

固体における熱輸送の主な担い手は電子と格子振動(フォノン)であり、特に半導体や絶縁体では後者の格子熱伝導 \(\kappa_{L}\)が支配的になる。格子熱伝導率は格子振動の非調和性と密接に関連しており、その大きさは物質によって様々に変化する。例えば、強い共有結合を有するダイヤモンドの格子振動は非常に調和的であり高い熱伝導率(\(\kappa_{L} > 1000\) W/mK)を示す。一方、イオン結晶であるPbTeの熱伝導率は非常に小さく(\(\kappa_{L} \sim 1\) W/mK)、その背後には大きな非調和性に起因するフォノン−フォノン散乱があると考えられている。このように多様に変化する格子熱伝導率を非経験的に扱うための計算手法を開発することは、デバイスの排熱性能や熱電変換材料の性能を最適化する上で大きな意義を持つ。


そこで当研究室では、固体の格子熱伝導率を計算するための汎用的な手法の開発を行ってきた。本手法では、まず原子系のポテンシャルエネルギーを各原子の平衡位置からの変位 \( \{u_{i}\}\) に関するTaylor展開で表現する。展開係数は物質・構造に依存する調和・非調和の原子間力定数(Interatomic Force Constant :IFC)であり、これらは密度汎関数理論に基づく第一原理計算から決定する。次に、求めた調和・非調和IFCを用いて(非平衡)分子動力学シミュレーションを行うか、もしくはボルツマン輸送方程式を解くことで格子熱伝導率が得られる。本手法をシリコンと熱電材料であるMg2Siに適用し、実験値を再現する結果を得ることに成功した [1]。当研究室で開発したプログラムの一部はオープンソースプロジェクトとして整備されており [2]、VASPやQuantum-ESPRESSOなどの第一原理計算パッケージと組み合わせることで格子熱伝導率を計算する事が可能である。


 

[1] T. Tadano, Y. Gohda, and S. Tsuneyuki, J. Phys.: Condens. Matter 26, 225402 (2014).

[2] T. Tadano, ALAMODE package.


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