研究紹介

「ネオジム磁石の界面構造に関する第一原理的アプローチ」

NdFeB

現在最強の磁石として知られるNd-Fe-B磁石は, その保磁力が理論的に予想される値の20%程度に留まっており, その起源は明らかになっていない.近年の詳細な実験から, 保磁力の高いNd-Fe-B磁石内部ではNd2Fe14B主相を取り巻く多種の副相(dhcp-Nd, Nd酸化物, NdFeCu合金等)が観測されており, 主相と副相が接する界面が保磁力向上の鍵を握っていると認識されている.

現在我々は理論的な立場からNd2Fe14B/dhcp-Nd及びNd2-xCuxFe14B/NdOxの第一原理電子状態計算を進めている. これらの系は数百〜数千原子を含む大規模系であるため, 京コンピュータ等の大型計算機が活躍する絶好の舞台である. シミュレーションの結果得られた構造を見ると, 界面近傍でNd2Fe14B主相, 及び副相であるdhcp-Nd, NdOxの両相に歪みが生じていることが分かる(図a, b参照). 界面近傍のNdはこの歪みにより電子状態の変調を受け, 異方性が変化すると示唆されている. 現在この歪みが電子状態へ与える影響について解析を進めている.


 


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