研究紹介
私たちの研究室では、 電子状態理論にもとづくコンピュータシミュレーション手法、
分子動力学法や第一原理電子状態計算を使って、 極限条件における物質の性質を研究しています。 (第一原理というのは、
素電荷やプランク定数などの物理の基礎定数のみを用いて、 電子が従う基礎方程式を経験的パラメーターに頼らずに解くという意味です。)
実験データに頼らないコンピュータシミュレーションは、 超高圧下や複雑な固体表面・界面・ナノ構造など、実験で観測するのが困難であったり、
実験だけでは十分な情報が得られない極限条件の物性研究を行う上で、 とりわけ重要な研究手法です。
ここでは、最近数年間の主要な研究テーマを紹介します。
研究紹介の欄では、 研究の一部を学部生向けにわかりやすく説明しています。
計算手法開発
- 密度汎関数法
- 第一原理経路積分分子動力学法
- 第一原理量子モンテカルロ法
- トランスコリレイティッド法
- 効率的な安定構造探索
- 第一原理分子動力学法を用いた非調和格子振動モデル
最安定構造探索の概念図
光物性
- バレー半導体中の励起子多体束縛状態
- 相変化記録材料の超短パルスレーザー照射によるアモルファス化現象
数値計算により安定性が示されたダイアモンド中の励起子多体束縛状態(実線で囲まれた領域)
誘電体
チタン酸バリウム中にドープされた電子キャリア
固体中水素の物性
- 半導体や金属中の不純物水素
- 水素結合型化合物
- 誘電体
- 固体水素
- 量子効果
シリコン結晶中のミューオニウム核の分布
Phys. Rev. Lett. 81, 1873-1876
(1998).
私たちは、 単純で普遍的な方程式から多種多様な物質の結晶構造や物性を理論的に予測したり、
逆にすでに知られている物理現象を計算機で再現したりすることを通じて、 自然現象の本質を理解したいと思っています。
そのためのシミュレーション手法の開発それ自体も、 中心的な研究テーマのひとつです。