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Tsuneyuki Research Group |
酸化物中の不純物水素は、陽イオン(H+)、陰イオン(H-)、中性(H0)の状態を取り、その電気伝導特性に影響を与える。その例として、鉄系超伝導体(LaFeAsO)においてO2-のH-置換によるキャリア制御を行ったものがある[1]。結晶中のH状態を考察し、電気伝導の制御が可能になれば、デバイスなどへの応用にも役立つ。
我々はルチル型酸化物半導体MO2 (M=Si, Ge, Sn, Pb, Ti, Zr, Hf)に注目し、密度汎関数法に基づく第一原理計算による構造最適化を行い、Bader解析[2]によってその取りうるHの荷電状態を調べた。図のように完全SiO2結晶中おいて、(a)Hが中性水素原子として孤立して存在する場合(H0)、(b)O-H間の距離が約1.03Å で、0.96Åの水分子のO-H結合距離と同程度であり、O-H結合を形成してH+になる場合、(c)同様に1.33Å の結合距離のSi-H結合を形成してH-になる場合がある。 SiO2, HfO2のように3つすべての荷電状態(H0, H+, H-)を取る場合、ZrO2のようにH+とH-の荷電状態が存在する場合、GeO2, SnO2, PbO2, TiO2のようにH+の荷電状態のみの場合があることがわかった。このように、同じルチル型でも結晶によって異なるH状態になる。
[1] S. Iimura, S. Matuishi, H. Sato, T. Hanna, Y. Muraba, S.W. Kim, J.E. Kim, M. Takata, and H. Hosono, Nat. Commun. 3, 943 (2012).
[2] R. F. W. Bader, Atoms in Molecules - A Quantum Theory (Oxford University Press, Oxford, 1990).
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