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Tsuneyuki Research Group


 Research

「ラットリング振動による熱伝導率低減のメカニズム」

図:I型クラスレート化合物

クラスレートや充填スクッテルダイトなどのカゴ状物質は非常に低い熱伝導率を有することから、高性能な熱電材料の候補として広く研究されている。右図に示すのはI型クラスレートA8X16Y30の結晶構造である。ホスト原子によって構成された骨格構造にゲスト原子が内包されており、ゲスト原子はカゴ内部を大域的に振動することが知られている。このゲスト原子の大振幅振動(ラットリング振動)が格子熱伝導を低減させる効果があることは以前より知られていたが、その微視的なメカニズムに関する理解は不十分であった。


そこで我々は、ラットリング振動と極めて低い格子熱伝導率の関連性を理解することを目指し、I型クラスレートBa8Ga16Ge30の第一原理非調和格子動力学計算を行った。Ba8Ga16Ge30とゲスト原子を除いた仮想的な物質Ga16Ge30におけるフォノン特性を比較した結果、ゲスト原子によって非調和フォノン散乱強度が増強され、低エネルギーにおけるフォノンの寿命が10分の1以上に低減されることを明らかにした。また、その結果としてゲスト原子が格子熱伝導率を20分の1に低減させる効果があることを示した [1]。


 

[1] T. Tadano, Y. Gohda, and S. Tsuneyuki, Phys. Rev. Lett. 114, 095501 (2015).



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